2005年 11月 11日
7続・よく釣れる漁師的鮎釣り |
8. 漁師的鮎釣りとは
実は昔、鮎釣り名人を目指していた頃、とっても気になっていた釣人がいました。その人は真っ黒なハッピを着て笠をかぶり、鮎が掛かると、「ほっほー。」と奇声を発しながら上流に吹飛ばして取り込んでいました。もうおわかりかと思います。故.諏合正一名人です。名人を初めて知ったのは、今から20年位前、いきつけの床屋でなにげなく月刊つり人を見た時でした。そこには黒いハッピに領と背中にそめて笠と黒いサングラスを掛けたヤ、か大工の棟梁のような人が立っていました。もっとびっくりしたのがその仕掛けと釣り方です。水中糸は0.8号の通し、おもりを常に付けて、竿の真ん中を持ち上流に引き上げる、当たりは手に直接くるので目印はいらないというものでした。針はちらしのみでオトリはローソクでもきゅうりでも釣る自信があるとインタビューで答えていました。「え、そんなこと絶対ありえないし、こんな人がいることが信じられない。」とその時は思いましたがしばらく忘れていました。それから程なく、彼がスズキジムニーカップで優勝し副賞の車の上でばんざいしている写真が釣り雑誌にのりました。いてもたってもいられなくなり、当時埼玉県に住んでいた私は、那珂川湯殿橋に見に行きました。怖くて声は掛けられなかったのですが、その釣り姿はほんとうに奇怪でだれもまねできないし、まねしようともおもわないだろうなというものでした。しかし、よく釣れるなというのが正直な感想でした。今思うことは、彼は漁師であり、その当時の自分はアマチュアの釣り人(しかもどしろうと)で、視点がまるで違っていたということと、漁師をめざすと好む好まざるにかかわらず彼の釣りに近くなっていくなあということです。
前置きはこの位にして、漁師的鮎釣りの説明にはいります。
①瀬の釣り方
まず、鮎の舐めを見ることや、釣り場のアンギュレーションをみながら鮎の付き場を考え場所取りをしていくというのが、一般に言われることですが、前にも書いた通りどこでスイッチがはいっているかを調べるのが一番大切だと思います。したがって瀬肩から瀬尻まで一通りオトリを入れていきます。漁師的釣りは一般論には耳を貸さないということが大切で、最初からおもりをかませてまず瀬肩から釣り始めます。当たりがなかったら5センチぐらいずつ引き上げ、1メートル引き上げたら2メートル大きく下げてやってまた5センチ引き上げるを繰り返していきます。そのとき水の抵抗でオトリが浮いてながされる時はおもりをおもくしていきます。また根掛かりする時はオトリが弱っている時か底石の状態が浮石ぎみで悪いかごみが多いかということなので、ハリスを短くし、水中糸をつねに張り気味にして引き上げ幅を小さくして対処します。オトリを底に入れる=釣れる状況を作る、ということはつねに根掛かりの危険がつきまといます。それは、ノーマルでも背針でも同じで、根掛かりしないことはオトリが底に入っていない=釣れない、ということなのです。ですから根掛かりを恐れて苦手意識をもつことのほうが、上達の妨げになります。瀬の流芯も瀬尻も瀬脇も同じように攻めて行きます。
瀬の釣りで大切な事
(1)上流から下流に攻める。瀬肩から始める。
(2)流れの強い弱い、浅い深いの変化があっても常に同じ釣りをしていく。
(3)変えるのはおもりのみ。
(4)釣れたらそこでねばって釣りきることを心がける。
(5)釣りきったと思ったら、次の場所に移り2度と同じ釣り場に戻らない。
鮎釣りで一番簡単なのは瀬釣りです。なぜなら瀬は流速と溶存酸素の関係で川で一番新鮮な垢があるので、縄張りを持つ鮎も多いし、流速で鮎の動きが規制されるため追い方がオトリの後から追って後に流されるというもっとも針掛かりし易い形になり掛かりも早くなります。
また、流速が針を鮎に深く刺してくれるので、ばれにくいという利点もあります。簡単だという証拠に競技会を観戦すると、ほとんどの選手が瀬に入ります。ですから、瀬が苦手という方は、はやく好きになって得意にならないと宝の山を捨てていることになります。
また、瀬では追い気の有る鮎は必ず追ってきます。したがって釣りきったと感じた時は、そこには追い気の有る鮎は居ないとおもって間違いありません。よく乗ってきたという表現でどんどんその場所に鮎が差し込んできて釣れると言う感覚を持って粘るかたがいらっしゃいますが、単に鮎の密度が高くてよく釣れるということで、乗ってきたということでは有りません。ほんとうに乗ってくるという感覚は、過去に数度しかなく、いずれも急激な温度変化で瀞渕の鮎が一斉に瀬にはいってきて気が狂ったようにかかり始め、わずか30分で何事も無く終ったこと。いずれも激しい夕立の後でした。鮎釣りの格言で「人の触った後には触るな」と教えられたことがありますが、たしかにその通りだとおもいます。人が釣った後は、釣れません。
また、混雑した釣り場では、と質問されることがあります。いくら混雑した釣り場でも開いている処が必ず有ります。荒瀬やガンガン瀬や深い瀬、木がかぶっている瀬こんなところがおいしい場合がままあります。遠くのポイントにはなかなかいかないものです。足でかせぎましよう。
次項では、なぜおもり?について書きます。
実は昔、鮎釣り名人を目指していた頃、とっても気になっていた釣人がいました。その人は真っ黒なハッピを着て笠をかぶり、鮎が掛かると、「ほっほー。」と奇声を発しながら上流に吹飛ばして取り込んでいました。もうおわかりかと思います。故.諏合正一名人です。名人を初めて知ったのは、今から20年位前、いきつけの床屋でなにげなく月刊つり人を見た時でした。そこには黒いハッピに領と背中にそめて笠と黒いサングラスを掛けたヤ、か大工の棟梁のような人が立っていました。もっとびっくりしたのがその仕掛けと釣り方です。水中糸は0.8号の通し、おもりを常に付けて、竿の真ん中を持ち上流に引き上げる、当たりは手に直接くるので目印はいらないというものでした。針はちらしのみでオトリはローソクでもきゅうりでも釣る自信があるとインタビューで答えていました。「え、そんなこと絶対ありえないし、こんな人がいることが信じられない。」とその時は思いましたがしばらく忘れていました。それから程なく、彼がスズキジムニーカップで優勝し副賞の車の上でばんざいしている写真が釣り雑誌にのりました。いてもたってもいられなくなり、当時埼玉県に住んでいた私は、那珂川湯殿橋に見に行きました。怖くて声は掛けられなかったのですが、その釣り姿はほんとうに奇怪でだれもまねできないし、まねしようともおもわないだろうなというものでした。しかし、よく釣れるなというのが正直な感想でした。今思うことは、彼は漁師であり、その当時の自分はアマチュアの釣り人(しかもどしろうと)で、視点がまるで違っていたということと、漁師をめざすと好む好まざるにかかわらず彼の釣りに近くなっていくなあということです。
前置きはこの位にして、漁師的鮎釣りの説明にはいります。
①瀬の釣り方
まず、鮎の舐めを見ることや、釣り場のアンギュレーションをみながら鮎の付き場を考え場所取りをしていくというのが、一般に言われることですが、前にも書いた通りどこでスイッチがはいっているかを調べるのが一番大切だと思います。したがって瀬肩から瀬尻まで一通りオトリを入れていきます。漁師的釣りは一般論には耳を貸さないということが大切で、最初からおもりをかませてまず瀬肩から釣り始めます。当たりがなかったら5センチぐらいずつ引き上げ、1メートル引き上げたら2メートル大きく下げてやってまた5センチ引き上げるを繰り返していきます。そのとき水の抵抗でオトリが浮いてながされる時はおもりをおもくしていきます。また根掛かりする時はオトリが弱っている時か底石の状態が浮石ぎみで悪いかごみが多いかということなので、ハリスを短くし、水中糸をつねに張り気味にして引き上げ幅を小さくして対処します。オトリを底に入れる=釣れる状況を作る、ということはつねに根掛かりの危険がつきまといます。それは、ノーマルでも背針でも同じで、根掛かりしないことはオトリが底に入っていない=釣れない、ということなのです。ですから根掛かりを恐れて苦手意識をもつことのほうが、上達の妨げになります。瀬の流芯も瀬尻も瀬脇も同じように攻めて行きます。
瀬の釣りで大切な事
(1)上流から下流に攻める。瀬肩から始める。
(2)流れの強い弱い、浅い深いの変化があっても常に同じ釣りをしていく。
(3)変えるのはおもりのみ。
(4)釣れたらそこでねばって釣りきることを心がける。
(5)釣りきったと思ったら、次の場所に移り2度と同じ釣り場に戻らない。
鮎釣りで一番簡単なのは瀬釣りです。なぜなら瀬は流速と溶存酸素の関係で川で一番新鮮な垢があるので、縄張りを持つ鮎も多いし、流速で鮎の動きが規制されるため追い方がオトリの後から追って後に流されるというもっとも針掛かりし易い形になり掛かりも早くなります。
また、流速が針を鮎に深く刺してくれるので、ばれにくいという利点もあります。簡単だという証拠に競技会を観戦すると、ほとんどの選手が瀬に入ります。ですから、瀬が苦手という方は、はやく好きになって得意にならないと宝の山を捨てていることになります。
また、瀬では追い気の有る鮎は必ず追ってきます。したがって釣りきったと感じた時は、そこには追い気の有る鮎は居ないとおもって間違いありません。よく乗ってきたという表現でどんどんその場所に鮎が差し込んできて釣れると言う感覚を持って粘るかたがいらっしゃいますが、単に鮎の密度が高くてよく釣れるということで、乗ってきたということでは有りません。ほんとうに乗ってくるという感覚は、過去に数度しかなく、いずれも急激な温度変化で瀞渕の鮎が一斉に瀬にはいってきて気が狂ったようにかかり始め、わずか30分で何事も無く終ったこと。いずれも激しい夕立の後でした。鮎釣りの格言で「人の触った後には触るな」と教えられたことがありますが、たしかにその通りだとおもいます。人が釣った後は、釣れません。
また、混雑した釣り場では、と質問されることがあります。いくら混雑した釣り場でも開いている処が必ず有ります。荒瀬やガンガン瀬や深い瀬、木がかぶっている瀬こんなところがおいしい場合がままあります。遠くのポイントにはなかなかいかないものです。足でかせぎましよう。
次項では、なぜおもり?について書きます。
by sakuramaru-111
| 2005-11-11 10:46
| 鮎
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